2023/07/17

2023/7/14 響遊 活動報告

 📖 紹介された作品   ※発表順、敬称略

■Yり:日本の歴史史話や古典への関心から、次回は怪談を読みたい…

■O:『一年一組せんせいあのね-こどものつぶやきセレクション』鹿島和夫 選、ヨシタケシンスケ絵(理論社)2023.5

  🔼 1981年初版リメイク。子どもの感性・言葉が今もスゴク新鮮 !! 

■ Iく:『帆立の詫び状 てんやわんや編』新川帆立(幻冬舎文庫)2023.2

  🔼 1991年生まれ東大法学部卒の弁護士、小説家としてもスピードデビュー&ドラマ化→大ヒット!!…スーパー女子の赤裸々エッセイ~「イケてる女性への道」を朗読。

■ A:『収容所から来た遺書』辺見じゅん(文春文庫)1992.6 

  🔼 映画化された感動のノンフィクション作品の紹介と併せて、かつて勤務していた高齢者施設での戦争に関する聞き書きを朗読。

■ Iり: ①『むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く』永六輔(毎日新聞社)2014.1   

   ②『無名人のひとりごと』永六輔(金曜日)2013.2

   🔼 ①の書名は井上ひさしの座右の銘から。②軽妙なエッセイに思わずクスリ…。

■ T:『草枕』夏目漱石

   🔼「別段食いたくはない」と言いつつ、羊羹の美について大絶賛!さすが文豪…。“とらや”HPでも「珠玉の名文」と紹介されてます。

■ Yゆ:『光のとこにいてね』一穂ミチ(文藝春秋)2022.11

   🔼 中学校司書のススメで464頁を2日で読了(止まらない!!)。独特の表現も魅力的で、他の作品も読んでみたい。

■ H:『青春の門』五木寛之(講談社)第1~9部 初版1970~

  🔼 著者は九州出身だが、作品の半分ほどは北海道が舞台になっていて興味深い。1969年の「週刊現代」連載開始から50年余り、完結が近いようだ。

  (記:岡 本)

2023/06/20

2023/6/9 響遊 活動報告

 今回の響遊は『同じ一冊の本を皆が読んで感想を述べ合う』という初めての試みの読書会でした。参加者は8名。その様子をお伝えします。

課題の一冊は今村夏子作「むらさきのスカートの女」という、4月の響遊で高橋さんが紹介してくれた本です。

司会進行の池川さんから、作成配布した資料により「今村夏子の紹介」「あらすじ」「視点」「本日の進め方」について説明があった後、座席順に参加者が感想を述べていきました。参加者各位の感想はイニシャル表記で紹介します。

U:本を読むときは何らかの共感を探すが、この本は面白かったが全く共感できなかった。エッシャーのだまし絵のような文章だなと思った。風変わりな人、孤独な人を観察している女、最初の印象と違って話はどんどん進んで面白かった。すべてが「わたし」の妄想なのかなと思った。

O:「むらさきのスカートの女」は誰なのかと読者の関心はいくが、書評など読んでみると、「むらさき」と「きいろ」、「スカート」と「カーディガン」は対比なのか、ひょっとして同じ人では?と思うと視点としては面白いと思った。

A:作者の紹介エッセイなど読むと、この「わたし」は作者自身で、作者の中にもう一人の自分を作り上げ一人芝居をさせているようだ。その表現力が芥川賞受賞するほどの力量があったのだろう。これはネバーエンディングストーリー終わりのない物語なのかな。読者がこのストーリーの続きを作っていくのかな。女と男、独身女性、正規非正規雇用の問題、女性社会の格差も感じた。

H:本を手に入れることができず読んでいないが…この作家のように40歳位の若い作家の作品は芥川賞や直木賞受賞と言われて読んでみても人生経験が浅いと思い込みあまり読む気がしなかった。佐藤愛子、瀬戸内寂聴、阿川佐和子などまでだった。が、これを機に若い女性作家の本も読んでみようと思った。

Y:Hさんのお話に同年代として同感、OさんAさんの分析も面白いなと思ったが、私が読んだとき感じたのは登場人物がみんな紋切型だということ。結局、作家の頭の中のことで、だから決まった形なのだと思った。実は今日のために色々考えていたら、NHKテレビの再放送で有吉佐和子さんを取り上げていた。有吉さんが良いということではないが、高校生の頃から揺さぶられていた作品と比べると何だか軽いなと…本の後ろにあった随筆集を読んでしまったからか、近頃の人は家の中で普通の生活をしながら簡単に書き上げる、そして賞も受賞する、それだけ頭が良いのかもしれないが…苦悩して書いていた昔の作家とは違うように思ってしまう。面白いかといえば面白かったが…

ⅠK:1回目読んで「なんだこれ」と思ったが、本の表紙が不気味で(紫のスカートから二人分の足)、その意味が知りたくて読み進んだ。「わたし」と「むらさきのスカートの女」は実在するのか、妄想の世界のことなのかなど色々考えた。そこで今村さんの他の作品を読んでみた。芦田愛菜主演で映画化された「星の子」、河合隼雄物語賞受賞の「あひる」、どちらも表現する視点が違う、不思議、不気味と感じた。そして今日のために2回目、ICレコーダーに録音して音読してみた。そうしたらいっぱい気付きがあって、最後に私は泣きそうになっていた。かわいそう…孤独、経済的にも精神的にも満たされていないけど一人で生きていかなければならない女性の姿が見えてきた気がして…。この作家がなぜ多数の賞を受賞しているのかと考えると、他の人とは違う優れた視点を持っていて、それを文章化する力があるのだと思った。1回目は読みやすい面白いで読んだが、2回目は「かわいそう」という感慨があった。

ⅠR:私も最初は「むらさきのスカートの女」が変な人だと思ったが、それを見ている「わたし」の方が中心なのではないかなと読めてきた。実は「むらさきのスカートの女」は行動力やコミュニケーション能力も優れている。問題は「わたし」の方、友達になりたいのにストーカー的行為や犯罪的な行動など病的な感じさえ受けた。ミステリー的要素もあり面白いというか考えさせられた。私が一番気になった「最後の場面」については後程話すことにします。

T:私も今村夏子さんの本を初めて読んだ。最初読んだ時はさらっと読めたが、いったい「むらさきのスカートの女」は誰なのだろうと疑問ばかり残った。でも表紙の絵はスカートから足が二人分出ているし、同じ人物なのか空想の人物か答えの出ないまま、作者は何が言いたいのかモヤモヤ感で読み終わった。そしてもう一回読んでみたら色々気付きがあった。この本は自分自身が遊び心を持って読んだらスゴク面白いと気付いた。なぜなら「黄色いカーディガンの女」は「むらさきのスカートの女」を観察していて、振り回されているけれど結局は「黄色いカーディガンの女」は主人公の「わたし」で、「わたし」の中で「むらさきのスカートの女」を転がして面白がっている空想の中の物語で、「わたし」が楽しんでいるように思った。最後の場面で、「むらさきのスカートの女」専用のベンチに「わたし」が色々あったのに何も無かったかのように座ってしまう、そのキャラクターが面白いなと思った。

参加者8名から述べられた感想は概ね以上のとおりでした。

この後、残り時間で「最後の場面」についての意見交換、作者のエッセイ等から読み取る作者自身の職歴や作家を目指した背景など語り合いました。初めての試みの読書会、色々な見方ができて色々な意見が聞けたこの本は課題として良かったのではないでしょうか、ということで閉会となりました。(記:石井)


2023/05/27

2023/5/24 RBC 活動報告

  5月24日の読書会では、鴨長明の『方丈記』を紹介しました。

『方丈記』(1212年) 鴨長明 (1155~1216年)浅見和彦 校訂・訳   笠間書院

方丈とは…一丈(約3m)四方の部屋のこと。そこで記したものが方丈記。

〈 方丈記の構成 〉

ゆく河のながれ

安元の大火 (1177年4月 長明 23才)

治承の辻風 (1180年4月 長明26才)

福原への遷都 (1180年6月)

養和の飢饉 (1181年6月 長明 27才)

元暦の大地震 (1185年7月 長明 32才 )

世に従えば、身、苦し

父かたの祖母の家

仮の庵のありやう

山中の景気

仮の庵もややふるさととなりて

手のやつこ、足ののりもの

三界はただ心ひとつ

一期の月かげ かたぶきて


〈 鴨長明が影響を受けた作品 〉

『池亭記(ちていのき)』(982年) 慶滋保胤(よししげのやすたね)作者は長明の親族にあたる人物。平安時代 中期に著した随筆。当時の京の都の世相と京都西部で隠遁生活に入るさまを描く。その生き方と作品に長明は私淑していた。

 〈 夏目漱石と方丈記 〉

 夏目漱石は、帝国大学英文学科時代に教授ディクソンから依頼され、方丈記の英訳を行った。『草枕』の冒頭の処世の世知辛さを感じた時に何処か心安らぐ場所へ移り住みたくなる、という描写は方丈記の影響を感じさせる。  ~山道を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば、窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて画ができる~

 明治という時代もまた、維新によって大きな変化がもたらされ、人々の考え方、生き方も変革を迫られた。方丈記に描かれてい天災や政治に人々が翻弄される姿に、漱石は共感を抱いたかもしれない。

  〈 方丈記を読み終えて 〉

 鴨長明の生きた時代背景、その人生と作品とを突合せながら、読み進めました。 自然災害や疫病、治世の変遷、勢力争い等次々と災難に見舞われる中、心の安寧を探求する姿が、後世の人々を惹きつけてきたように思います。 災害記録文学やミニマムな生活の指南書としても読み解くことができ、多面的な楽しみ方ができます。音読してみると端正な文章が心地よい響きとなり、和歌の名手でもあった長明が選び抜いた言葉の美しさが一層際立ちます。   記:上村

2023/05/19

2023/5/12 響遊 活動報告

 5/12の響遊の様子をお伝えします

📖 紹介された作品   ※発表順、敬称略

■ 石井:今回のテーマは「金閣寺」です。『金閣寺』三島由紀夫(新潮文庫版)初版1956

『金閣炎上』水上勉(新潮社)1979.12『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤孝(SBクリエイティブ)2019.1

『金閣寺の燃やし方』酒井順子(講談社)2010.10

🔼 金閣寺放火事件の半年後に雑誌連載開始の小説(三島)と、20年の取材を経て執筆された作品(水上)を読み比べてみました。


■ 高橋:『死者の奢り・飼育』 大江健三郎(新潮文庫)2013.4

🔼 太平洋戦争時 山村での黒人捕虜を描いた芥川賞受賞作「飼育」から一部朗読。


■ 岡本 :『いつか君に出会ってほしい本』田村文(河出書房新社)2023.3

🔼  2012年 配信開始の共同通信社YA読書案内。作品も文章も魅力的!


■ 山本:『傷』乙一 原作、清原紘 漫画(KADOKAWA)2008.1

🔼 他者の傷を自分に移す能力を持つ小学生の物語。ウェブ無料漫画あり。


■ 星野:『橋のない川』住井すゑ(新潮社)第1~7部 初版1961

『青春の門』五木寛之(講談社)第1~8部 初版1970

🔼 両方とも大作、読んで良かった!!


■ 池川:『帰郷』浅田次郎(集英社)2016.6

🔼 南方からの帰還兵と娼婦の会話から戦争や人間の運命を描く短篇。


■ 芦名:『何もかも憂鬱な夜に』中村文則(集英社文庫)2016.6

 🔼 若い未決囚と刑務官の関わりから、生の意味や死刑制度について考える。


記:岡本

2023/05/05

2023/4/14 響遊 活動報告

 4/14の響遊の様子をお伝えします

📖 紹介された作品   ※発表順、敬称略

■ 山田:「平家物語の成り立ち」山下宏明『新日本古典文学大系 44(平家物語 上)』1991.6 所収

🔼 「平家物語の作者は誰?」という質問を受けて調べてみたら…面白い♫ 長生きして勉強したい!! 


■ 池川:「東京日日新聞」記事(1929.4.10 金田一京助)

『違星北斗歌集』違星北斗(角川ソフィア文庫)2021.6 ~ 資料配付

🔼 ラジオで夭折のアイヌ歌人のことを聞いて、この本に出逢いました。


■ 石井:「儀式」竹西寛子 「八月の風船」野坂昭如

『戦争小説短篇名作選』講談社文芸文庫名作選(講談社)2015.7 所収 

🔼 「ふ号兵器」なんだかなぁ…現世界情勢状や平和とか考えちゃいます。


■ 高橋:『むらさきのスカートの女』 今村夏子(新潮文庫)2022.9  

🔼 表紙の絵の意味が?でした。謎の多い小説です。

「読書会したら面白そぉ!」の声も…。みんなで読みた~い!!


■ 岡本 :『生きるーわたしたちの思い』谷川俊太郎 with friends(角川SSC)2008.8

『みんなの「生きる」をデザインしよう』菊地信義(白水社)2007.3

※NHK「課外授業 ようこそ先輩」で放映(2005.10.19)

🔼 👆 これYouTubeで見られるので是非!! 今春開校の「まおい学びのさと小学校」のコトなんかも想像しますね。


■ 石田:今日は観客として参加。お仕事から直行、お疲れさま~


記:岡本

2023/03/22

2023/3/14 RBC 活動報告

 3月RBC(23年3月14日)作品紹介

◎西加奈子作「炎上する君」角川文庫 2012年初出

◎宮本輝作「階段」文春文庫(『真夏の犬』所収)1988年初出


西加奈子(にしかなこ)<文庫裏表紙から>

1977年テヘラン生まれ、大阪育ち。関西大学法学部卒業後、2004年『あおい』でデビュー。08年『通天閣』で織田作之助賞受賞。

<又吉直樹の解説より>

西さんの作品全てに共通することだが、物語の核心部分に内包された深刻なテーマと笑いが乖離せず一つの物語になるのは選ばれた才能だと思う。笑いのセンスが作り物ではなく、元々自身に感覚として備わっているから成せる技だろう。君は戦闘にいる。恋という戦闘のさなかにいる。誰がそれを笑うことが出来ようか。君は炎上している。この言葉は、自分の背中に彫りたいと思えるほど美しく、強い。


宮本輝(みやもとてる)

 1947年(昭和22年)生まれ。神戸出身。本名は正仁(まさひと)。

 52年「泥の河」で第13回太宰治賞を、翌53年「螢川」で第78回芥川龍之介賞を受賞。62年には「優駿」で第21回吉川英治文学賞を、平成16年には「約束の冬」で第54回芸術選奨文部科学大臣賞を受ける。

<語ること>と生きること―宮本輝の短編の魅力  管 聡子『宮本輝全短編 解説より』

 宮本輝の短編全体を概観すると、大きく二つの特徴を見て取ることができる。一つは、一人称の語り手を持つものが多いこと、もうひとつは、大人になった自分が、少年の頃、あるいは青春のときを回想するというスタイルをとるものが多いことである。言い換えれば、宮本輝の短編は、つねに少年のまなざし・視座を内包している。

文春文庫解説 森 絵都

 主人公の<私>が高校時代に陥った地獄の日々を回顧する。父親の暴力に起因する頭痛に苦しむ母親が、よかれと思った兄の助言で酒を口にする。たちまちアルコール中毒となり、金を持てば酒で使いはたし、酔っては市電のレールに寝転んで「轢いてえなア」と肌も露わな醜態を晒す。父親はとうに蒸発しているし、兄の助けも得られない。この辛苦を極めたどん底で、<私>はもはや母と言えない母と暮らすアパートの階段に来る日も来る日も座りつづける。彼にはまだ母親を助ける力はない。母親を殴りたい衝動にも、金への誘惑にもえない。それでも、少なくとも彼は逃げずにそこへ留まりつづける。自らの暴力性やな心から目を逸らすことなく向き合い、母親の側に居続けることで、彼はやはり母親を守っていたのだと思う。

 池川 良一


2023/03/13

2023/3/10 響遊 活動報告 

 3/10の響遊の様子をお伝えします

 📖 紹介された作品   ※発表順、敬称略

■ 石井:『樋口一葉赤貧日記』伊藤氏貴(中央公論新社)2022.11 

🔼 貧乏なのに、紙幣の顔。生まれは裕福、晩年は借金三昧。いくら稼ぎ、いくら借り、何を買い、何を思ったのか? 金銭事情で読み解く、日本初の女性職業作家の姿。新鮮です!! (今年は生誕150年とか…)

■ 高橋:『しろがねの葉』 千早茜(新潮文庫)2022.9  

🔼戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山の天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、生きるためひたら坑道で働く。直木賞受賞の大河長篇!

■ 岡本 :『月夜の森の梟』小池真理子(朝日新聞社)2021.11~夜の爪切り

「物書き2人は鬼2匹のようなもの」…2020年に亡くなった夫の藤田宜永さんと暮らした37年間。闘病や別れと喪失に向き合う日々を描いたエッセイ。

■ 山田:『元の黙阿弥』 奥山景布子(エイチアンドアイ)2023.1 

🔼 幕末明治の激動期、歌舞伎界を支え続けた“我国のシェークスピア”河竹黙阿弥の天晴な作者人生を描いた作品。「漢字が難しい」そうです。(山田せんせいにして!?)

■ 池川:次週のRBCに備え、西加奈子・宮本輝について紹介(資料配付)